妊娠線ってなに?

妊娠線とはどんなものか

妊娠により大きくなったお腹の皮膚が引っ張られ皮膚の皮下組織の亀裂が生じて起こる赤紫色の線のことを妊娠線といいます。

妊娠線は、1本の線幅2~3mm、長さ5cm程度で、触ると平らではなく少し凹んでいます。
そして妊娠線は、でき始めから出産するまでは赤紫色ですが、産後徐々にその色が薄くなり白くなっていきます。
この凹んだ白い線は産後もずっと残って消えることはありません。

妊娠線の原因とメカニズム

妊娠線のメカニズム
人の皮膚の構造は表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっています。
妊娠すると赤ちゃんの成長と共にどんどんお腹が大きくなっていきます。
妊娠初期から3ヶ月目あたりは、赤ちゃんはまだ小さくお腹の大きさはあまり目立ちませんが、4ヶ月目以降から急激に大きくなってきます。

そして、お腹が急に大きくなると、体全体の皮膚はそれに応じて引っ張られます。
一番外側にある表皮は伸縮性に優れているので問題ないのですが、その下の真皮や皮下組織は弾力性がなく自由に伸縮できないため大きくなっていくお腹にあわせて伸びることができません。
そして真皮、皮下組織の伸びの限界を超えた時点から亀裂がはじまり赤紫色の初期の妊娠線となります。

妊娠線はお腹だけじゃない?

妊娠線はお腹以外にもできるのです
一度できてしまうと消えない厄介な妊娠線ですが、実はできるのは、お腹だけじゃないんです。
人の皮膚は体全体がつながっているので、1ヶ所が引っ張られると他方にも影響がでます。
妊娠によってお腹の皮膚が引っ張られると、お腹から近い腕や太もも、乳房にまで影響が現れます。
個人差はありますが、腕、太もも、お尻、乳房などにできる方が多いです。
乳房にできる妊娠線は乳輪を中心に放射線状にできやすく、太ももも放射線状になりやすいです。

妊娠線ができにくい人

妊娠線ができにくい人もいるんです

一般的に妊娠線は、妊娠してお腹が大きくなれば妊婦の皆さんにできるといわれていますが、中には体質によってできにくい人もいるようです。
妊娠線のできない要因は2つあります。

皮膚全体の潤いを保つ保湿力の高さ

皮膚の伸縮性を維持、又は高めるためには皮膚の細胞一つ一つが絶えず潤っている必要があります。
その潤いにより、妊娠線のできる原因の皮下組織の亀裂を防ぐことができます。

皮膚そのものが柔らかい

笑うと頬に笑窪(えくぼ)ができる人は顔の皮膚が柔らかいといわれています。
また、皮膚を引っ張ると人よりよく伸びる人も皮膚が柔らかいといわれます。

このように体質的に元々皮膚に潤いがあって保湿力が高く皮膚全体が柔らかい人は妊娠線ができない、又は妊娠線ができにくいということになります。

しかし、一度できてしまった妊娠線は決して消えないので、自己判断せず専門家に診てもらうか、念のため妊娠線クリームなどで妊娠線ケアをしておきましょう。

妊娠線のできやすい人

妊娠線ができやすい人の傾向を紹介します


妊娠線ができにくい人やできない人などの例外を除き、一般的に妊娠線は妊娠中のママ全員にできる可能性があるのですが、その中でも傾向として妊娠線ができやすい人の条件がありますので紹介します。

太る体質の人

今は痩せているけど子供のころは太っていたとか、成長初期に太っていた人は皮下脂肪の幅が厚く、弾力性のない組織が多く存在します。
皮下組織の中で皮下脂肪は特に弾力性がなく裂けやすいため妊娠中に皮膚が引っ張られると、亀裂を起こしやすいのです。

双子以上を妊娠している人

一人より二人以上の多胎の場合は、子宮も大きくなりお腹の皮膚は、より引っ張られますので亀裂が生じやすい状態になります。

骨盤が小さい人

細くて小柄の人に骨盤が小さい人が多い傾向があります。
骨盤が小さいと、急激にお腹が大きくなった時に赤ちゃんの位置がどんどん前に行き、お腹がより前へせり出します。

妊娠中に栄養不足の人

つわりの影響などで上手く食事が摂れず必要な栄養が不足している場合は、皮膚の潤い等が減り柔軟性も悪くなり妊娠線ができやすい状態になります。

乾燥肌の人

妊娠線のできにくい人の条件として皮膚の潤いによる保湿力の高さと皮膚の柔軟性が挙げられますが、肌が乾燥すると、潤いが減り柔軟性も低下して皮膚が伸び縮みに対応しなくなり、皮下組織に亀裂ができやすくなります。


以上が妊娠線のできやすい人の条件になりますが、これらに該当しないからといって妊娠線ができない、又はできにくいとは言いきれません。
妊娠線ができてしまったお腹は決して元のきれいなお腹には戻りません。(お腹に限らず妊娠線のできてしまった部分全て)したがって妊娠初期からの早期の妊娠線ケアをおすすめします。

セルライトと妊娠線って同じなの?

セルライトは、80%以上の女性にみられオレンジの皮のような皮膚になることから『オレンジピールスキン』と言われ、さらに悪化すると『マットレススキン』といって皮膚が網目状になることもあります。

妊娠線とセルライトは一見似ているように見えますが、できる仕組みが違います。

妊娠線は各ページでも紹介していますように皮下組織の亀裂によるものですが、セルライトは新陳代謝の低下や血流の悪さなどにより起こる老廃物の蓄積などによってできるものです。

そしてセルライトができてしまう原因に『脂肪』が大きく関係してきます。

セルライトができる仕組み

セルライトができる仕組み

人を形成している細部はすべて代謝ということを繰り返し行っています。
人が物を食べて消化吸収して排せつするというサイクルと同じです。

各細胞は、毛細血管から酸素や栄養素を取り入れ老廃物や余分な水分などをリンパ管から排せつしています。

この代謝のサイクルがうまく行われていれば何の問題もなく健康な状態といえます。

しかし、皮下組織の中の脂肪細胞内で代謝が悪くなると様々な悪循環が起こりセルライトができてしまうのです。

セルライトができてしまった状態

その脂肪細胞の悪循環というのは、肥満の方に限ったことではなく食べ過ぎ、運動不足などが続いて脂肪細動が中性脂肪の塊として肥大化し細胞内の毛細血管や毛細リンパ管が圧迫されて栄養分の運搬や老廃物の排せつが滞ってしまい脂肪細胞の動きが悪くなり細胞内の組織が硬く線維化してしまい、それらが皮膚を引っ張る形になって皮膚が凸凹になりこれがセルライトです。

また、このように悪循環を起こしている脂肪細胞は肥大化したままなかなか元に戻らず減らすことが難しくなります。
こういったことからセルライトは肥満のもとといわれています。

セルライト解消法

セルライトの解消法は、とにかく代謝をよくすることです
リンパの流れが悪くなると浮腫みが出るといいますが、これはまさにセルライト(脂肪細胞の悪循環)のはじまりです。
早いうちに対策をしましょう。
まずは浮腫みが出た部分やセルライトがよくできるといわれている部分(お腹、太もも、お尻、ふくらはぎ等)をマッサージしたり、よく動かすようにして血行やリンパの流れをよくしましょう。

セルライトを解消するには

妊娠線と肉割れは同じなの?

肉割れとは

肉割れと妊娠線の違いは、できる原因と男女差にあります。

そもそも肉割れと妊娠線は同じといってもいいのですが、違う点といえば肉割れは男女関係なくできる点と、妊娠線は妊娠が原因でできるので男性にはできないという点でしょう。
しかし、どちらとも皮下組織に亀裂ができるという仕組みは同じです。

肉割れも妊娠線も、皮膚が乾燥しやすく硬い部分や皮膚の薄い部分、さらに皮下脂肪が多いところにできやすくなります。
例えば、お腹、お尻、乳房、二の腕、太ももやひざの裏などです。

また、ストレッチマークという呼び方もありますが、これも肉割れや妊娠線とできる仕組みは同じです。
成長期の急激な体の変化によってストレッチマークができます。トレーニングなどでの筋肉の増加でもストレッチマークができることもあります。
時には、妊娠線をストレッチマークと言うこともありますが、基本的にストレッチマークとは、10代の成長期に一気に身長が伸びたりするなど急激な体の変化で皮膚が伸ばされて表皮にできる亀裂の線をストレッチマークと言います。
体重の大きな増加や急激なトレーニングによる筋肉の増加でもストレッチマークができることがあります。

したがって、『肉割れ』『妊娠線』『ストレッチマーク』は基本的には同じものなのです。

あえて区別するなら【肉割れ】というカテゴリの中に『妊娠線』と『ストレッチマーク』があり、妊娠線は妊娠中にお腹が急激に大きくなるためにできる肉割れで、ストレッチマークは成長過程での体の変化やトレーニングによる急激な筋肉の増加によりできる肉割れです。

どちらにしても、この『肉割れ』は一度できてしまうと完全に消すことは現在の医療技術では不可能といわれています。

できてしまった肉割れを消すための唯一の方法は、レーザー治療しかありません。(もちろん手術という方法もありますが、リスクが大きすぎる為ここでは除外します。)

厳密にいえば、消すというより目立たなくするといった方がいいでしょう。

肉割れを消すレーザー治療

レーザー治療にはいくつかの種類があり、皮膚の状態や症状によりレーザーを組み合わせたり使い分けて治療していきます。

肉割れを治療するレーザー治療はターンオーバーを利用している
人の皮膚は、常にターンオーバーという循環を繰り返しています。
ターンオーバーとは表皮の古い皮膚が角質となって剥がれ落ちます。そしてその下からまた新しい皮膚が現れるというサイクルを繰り返して常にきれいな皮膚でいられるようになっています。

肉割れができた皮膚もターンオーバーは行われているのですが、自然におこるターンオーバーのペースでは追いつくことができずに亀裂の部分が硬くなってしまい自然のサイクルでは戻せなくなってしまいます。
その為に硬くなった白い線が残ってしまうのです。

レーザー治療は、このターンオーバーを促進して皮膚の再生サイクルを強制的に活発にさせて皮下組織の亀裂によりできた肉割れの線を皮膚の再生能力を利用して中から治療していくという方法です。

しかし、レーザー治療はあまりおすすめはできません。
なぜなら、レーザー治療のメリット、デメリットといえばデメリットの方が大きいと思うからです。

レザー治療のメリットは、大掛かりな手術を除いた唯一の肉割れの治療方法だということだけです。

デメリットは、まず治療費が高額ということです。
例として、腹部なら20万~30万円、下腹部だけなら6万円~10万円などとなっています。

しかも、もともと人が持っている自然治癒力を利用した治療法なので、個人差が大きく現れます。年齢や新陳代謝などの体質が、その効果に大きく関係してきます。

最悪の場合、高額な治療費を払ったのにまったく効果がなかった!なんてこともあり得るということなのです。

また、効果があったからといっても完全にもとのきれいなツルツルの肌に戻ることはありません。

あくまでもレーザー治療は、肉割れを消すのではなく目立たなくする治療だということを忘れないで下さい。