葉酸が不足すると赤ちゃんに悪影響を及ぼします

神経管閉鎖障害・二分脊椎症・無脳症について

  • 神経管閉鎖障害

受精した直後から、赤ちゃんは細胞分裂を繰り返し大きくなっていきます。
その過程で必要とされるのが葉酸であり、葉酸が不足していると、脳や脊髄などの中枢神経系の先天異常のリスクが高まることがわかっています。
その代表とされるのが神経管閉鎖障害です。
現在は、分娩件数10,000件につき6名の発症率ともいわれています。

神経管閉鎖障害には2種類あって、神経管の下部に閉鎖障害が発生した場合は『二分脊椎』で神経管の上部で閉鎖障害が発生した場合は『無脳症』といいます。
葉酸の摂取不足のために妊娠3週ごろに形成される神経管が正常に形成されないことが原因といわれています。
このことから葉酸について記載されている母子健康手帳をもらってからでは手遅れである可能性が高いということになります。
妊娠3ヵ月前もしくは、遅くとも妊娠4週間前からは1日400μgの葉酸を摂取すれば発症率が低くなりますので、是非とも葉酸の摂取を推奨します。
その際は、摂取効率のよい葉酸サプリをおすすめします。


  • 無脳症

無脳症の胎児の脳は大部分が欠損しています。
臓器自体には異常が見られない場合がほとんどですが、脳の生命維持に関する部分が形成不全となり、流産や死産の割合が非常に高くなります。
75%が死産となり、残りの25%も一週間以内にほとんどが亡くなります。


  • 二分脊椎症

生まれつき脊椎の一部が形成されなかった状態を言います。
神経障害を伴わない二分脊椎症もありますが、一般に二分脊椎症と呼ぶ場合には、なんらかの神経障害を伴う二分脊椎のことを指します。
本来ならば脊椎の管の中になければならない脊髄が脊椎の背中側の骨が一部開いて脊椎の外に出てしまって癒着や損傷しているために起こる神経障害のことを『二分脊椎症』といいます。
腰椎、仙椎に発生することが多いのですが、稀に頚椎、胸椎にも生じる場合があり、その部分から下の運動機能と知覚が麻痺し、内臓の機能にも大きく影響を及ぼします。

二分脊椎症は大きく二種類に分かれます。

開放性二分脊椎
脊椎の背中側の骨が一部開いて脊髄などの神経組織が背中に飛び出している状態。
出生後早急に脳神経外科医による背中の閉鎖手術の必要があります。
潜在性二分脊椎症
骨の開いている部分が正常な皮膚に覆われている状態。
幼児期はあまり症状が見られませんが、成長期(学童期や思春期)になると、脊髄係留症候群の危険があります。