妊娠中や出産前後のトラブルに関するアンケート結果
妊娠中や出産前後に何かトラブルはありましたか?という質問に『はい』と答えた人は96%、『いいえ』と答えた人は4%というアンケート結果があります。
なんと、90%以上のママがトラブルを経験していたという結果に!
妊娠中は…
・尿漏れに困った
・頭痛&腰痛がひどかった
など。
出産前後は…
・陣痛が弱くてお産が進まなかった
・赤ちゃんが産道でうまく回転していかなかった
・吸引分娩になった
・マタニティブルーになった
などのマイナートラブルから、「胎盤がはがれかけて、子どもも自分も命が危なかった!」という出産時の大トラブルまで、さまざまな体験があります。
妊娠高血圧症候群
妊娠によって、血管に負担がかかる
妊娠はママの体の中に、別の命が宿ること。
この状態に適応できないために起こるのが、「妊娠高血圧症候群」です。
血管に大きな負担がかかるのが特徴で、結果「高血圧」や「尿たんぱく」をまねきます。
重症化すると、全身けいれんを起こしたり(子癇発作)、脳卒中を起こすこともあります。
また、胎盤の血流も悪化するため、赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼします。
妊娠自体が負荷になるので、出産までに完治させるのはむずかしく、治療は安静と、塩分&カロリーを制限した食事療法が基本。
治療をしても母子の状態がよくなければ、早めに帝王切開が行われることもあります。
こんな時は妊娠高血圧症候群の疑い
- 尿たんぱく
妊婦健診の尿検査で尿たんぱく+や++が続くと、妊娠高血圧症候群が疑われます。
さらに詳しい検査を行い、重症度を診断します。 - 高血圧
上の血圧が140mmHg以上、もしくは下の血圧が90mmHg以上の状態が続く場合、妊娠高血圧症候群が疑われます。 - ひどいむくみ
妊娠高血圧症候群では、むくみをともなうケースも多くみられます。
自分でもチェックしてみて、ひどいむくみがあれば受診します。
こんな人は要注意!
・肥満である(BMIが25以上) ・家族に高血圧の人が多い ・もともと血圧が高い
・もともと血糖値が高めである ・腎臓病などの持病がある ・甲状腺機能低下症がある
・多胎妊娠である ・高年齢である ・初産である ・妊娠中、急に体重が増えた
塩分&カロリーを控えめに
塩分やカロリーのとりすぎは、高血圧の原因になります。
妊娠高血圧症候群を予防するには塩分は1日7g程度、カロリーは約1700~1800Kcalを目安に抑える工夫をしましょう。
体重は、自分の体格に見合った体重増加の範囲内に抑えるように心がけます。
妊娠糖尿病とは
羊水が増えすぎたり、巨大児の原因に
血糖値は、ママの膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによってコントロールされています。
しかし、妊娠すると、胎盤から分泌される別のホルモンにより、血糖値が下がりにくくなります。
これによって血糖値をうまくコントロールできなくなり、高血糖が続くのが「妊娠糖尿病」です。
また、妊娠前から糖尿病だった人は糖尿病合併妊娠と診断されます。
ママが糖尿病だと、赤ちゃんが巨大児となったり、羊水が増えすぎてトラブルの原因になることがあります。
ママも、妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。
こんな人は要注意!
・妊娠前から肥満である(BMIが25以上) ・妊娠してから体重増加が著しい
・高年齢である ・家族に糖尿病の人がいる
糖分を取りすぎていないか食生活の見直しを!
「糖分=砂糖が含まれるもの」と思われがちですが、ご飯やパンなどの炭水化物にも糖分は含まれます。
妊娠糖尿病の予防には食べすぎていないか、普段の食生活の見直しを。
できれば病院の栄養指導を受けるなどして、しっかり改善しましょう。
妊娠中の貧血
血液が足りず、息切れをまねく
血液中の赤血球に含まれる色素「ヘモグロビン」は全身に酸素を運ぶ役割がありす。
このヘモグロビンの材料となるのが鉄です。
妊娠中は血液量が増すために、これまでより多くの鉄が必要です。
ところが食事だけでは必要量を補うのが難く、鉄不足に陥りがち。
そで起こってくるのが、「鉄欠乏性貧血」です。
軽症の場合、自覚症状はほとんどありません。重症になると、めまいや動悸、息切れなどの症状が現れます。
また、出産時の出血でショック状態になることもあります。ただ、赤ちゃんに影響することはあまりありません。
こんな人は要注意!
・もともと貧血ぎみである ・食事を抜くことがよくある
・レバー、赤身の魚は食べない ・緑黄色野菜はあまり食べない
鉄とビタミンCを積極的にとって
鉄は、赤身の肉やレバー、貝類、緑黄色野菜、海藻などに豊富です。
ビタミンCを一緒にとると、体内に吸収されやすくなります。
ビタミンCは果物や野菜に含まれますから、どちらも積極的にとりましょう。
妊娠中の歯周病
歯ぐきの炎症が、早産のリスクを高める
妊娠すると、ホルモンの影響や歯肉の免疫力が低下することから、歯のトラブルが起こりやすくなります。
なかでも注意が必要なのが「歯周病」です。
細菌によって歯肉の炎症を起こす病気で、重症化すると、早産や赤ちゃんが小さく生まれるリスクが、6~7倍も高くなるというデータがあります。
歯のトラブルは安定期のうちに治療しておきましよう。
こんな人は要注意!
・食べづわりである ・しょっちゅう口にものを入れている
・毎食後の歯磨きをしていない ・歯科で健診を受けていない
毎日欠かさず丁寧な歯磨きを
最低でも1日1回は念入りに歯磨きをしましょう。
歯と歯の間や歯と歯肉の境目を丁寧にブラッシングします。
毎食後口をゆすいだり、フッ素入りの歯磨き粉を使うのもおすすめです。
直角&斜めの2方向から当てて磨こう!
妊娠中の風邪、インフルエンザ
高熱が出ると、子宮の収縮が促されることも
かぜのほとんどは、ウイルスが原因。
低温低湿の冬に繁殖するウイルスが多いのですが、なかには高温多湿の環境で活発になるウイルスもあり、夏かぜを引き起こします。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスで起こります。ふつうのかぜよりも感染力が強くて、重症化しやすいのが特徴です。
おなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことは、ほとんどないといわれています。
ただ、高熱が出たり、ひどいせきやくしゃみで腹圧がかかったりすると、子宮の収縮をまねくことも。
症状が重い場合は、産婦人科医に相談してください。
胎児に影響の少ない薬で対処できます。
こんな人は要注意!
・人ごみに出ることが多い ・疲れがたまっている
・外食が多く、栄養バランスがとれていない ・部屋の空気が乾燥している
人ごみは避ける。帰宅後の手洗い&うがいは絶対!
人ごみはできるだけ避けたいもの。
どうしても出かけるならマスクは必須です。
帰宅後の手洗い&うがいを徹底しましょう。
インフルエンザには、予防接種が有効。
また、ママだけでなく家族全員で予防することが大切です。
妊娠中のマイナートラブルにご用心!
便秘・腰痛・肩こり…
妊娠中は、ホルモンバランスが変わったり、おなかが大きくなったりすることから、さまざまな不快症状が現れてきます。
多くは一過性のものですし、赤ちゃんに影響を及ぼす心配はありません。
とはいえ、やはり気になるものですよね。
日頃の心がけが予防&改善につながりますから、ぜひ試してみてください。
症状がひどければ、医師に拒談を。
がまんしすぎないことも大切です。
気になるマイナートラブル予防&改善法
- 妊娠中の便秘
- 妊娠中の腰痛&肩こり
- 乳房や乳首の痛み
- 妊娠中の尿漏れ
- 妊娠中の抜け毛
- 妊娠中の痔
妊娠中は、妊娠を維持する黄体ホルモンの影響で腸の働きが低下するため、便秘がちになります。
つわりで食事量が減ったり、子宮で腸が圧迫されることも原因に。
積極的に食物繊維をとりましょう。
白米を玄米に、白パンを胚芽パンにすると手軽にたっぷりとれます。
おなかが大きくなると、自然と背中を反らすような姿勢になります。
すると、背中や腰に負担がかかって、肩こりや腰痛、背中の痛みを引き起こします。
筋肉をほぐすには、軽い運動やストレッチが効果的。
また、正しい姿勢を意識することも大切です。
乳腺の発達にともなって、乳房が張って痛くなったり、乳首がチクチクしたりします。
心配はいりませんが、発熱したり、乳首から血液の混じった分泌物が出た場合は、受診を。
下着はワイヤレスのものや、マタニティ用のもののほうが、刺激が少なくて◎
子宮がすぐそばの膀胱を刺激して、トイレが近くなります。
笑ったり、くしゃみをしたりするなど、ちょっとした腹圧で尿がもれてしまう腹圧性尿失禁もよく見られます。
がまんせずこまめにトイレにに行くようにしましょう。
消臭効果のあるパッドを利用してもいいですね。
髪の毛のパサつきや抜け毛が気になるママも。
これはホルモンの影響や赤ちゃんに優先的に栄養が送られるためです。
頭皮の皮脂分泌も増えるのでフケが出やすくなります。
無添加・低刺激のシャンプーでやさしくケアします。
栄養バランスのとれた食事も大切です。
かたい便を出そうとししていきむと、肛門が切れて「切れ痔」になったり、肛門付近の静脈の血流が滞って「イボ痔」になることも。
出産まで完治はむずかしいので、予防が大切です。
便秘にならないようにするのが基本です。
食生活を見直し、食物繊維を積極的にとりましょう。