妊活中、妊娠中のママの読みもの

不妊の原因と不妊治療

晩婚化にともない不妊症が増加中!

日本産科婦人科学会によると、不妊症の定義は「子どもを望む健康な夫婦が、避妊しないで定期的にセックスして2年たっても妊娠しない場合」とされています。

通常、避妊していない夫婦のおよそ8割は1年以内に妊娠し、1割は2年以内に妊娠するため、残りの約1割は不妊症とみなされます。

厚生労働省の人口動態統計によれば、不妊症の夫婦は6~8組に1人と推計され、その割合は増加しています。
不妊の原因ともいえるこの増加にもっとも大きな影響を与えているのが、晩婚化、晩産化か進んでいることです。

日本人の平均初婚年齢は、2012年で夫が30.8歳、妻が29.2歳。
1980年には夫が27.8歳、妻が25.2歳でしたから、30年のあいだに夫は3.0歳、妻は4.0歳高齢化したことになります。

それにともなって、初産年齢は高くなる一方で、第一子出産時の母親の平均年齢は、2012年には30歳を超えています。

不妊治療が身近な存在に

体外受精などの不妊治療を受ける人も増えており、体外受精で生まれた子どもは39人に1人と推計されています。

1987年にイギリスで世界初の体外受精児が生まれたときには「試験管ベビー」などと大々的に報道されましたが、いまや小学校のクラスに1人は体外受精児がいるかもしれない時代。

体外受精に対する抵抗感は薄れてきました。

産婦人科で不妊の検査を受診すると、基礎体温を測定して排卵日を予測し、その時期にセックスを行う「タイミング法」、精液を子宮に注入する[人工授精]、卵子と精子を取り出して受精させる「体外受精」と順を追って指導されるのが普通でしたが、最近ではより早い段階で体外受精が選択肢として提示されるようになってきています。

週2回程度のセックスを1年行っても妊娠しない場合、産婦人科で不妊検査の相談をしてみてはいかがでしょう。

不妊の原因ともいえる病気のリスクは年齢とともに上昇

年齢が高くなるにつれ、子宮筋腫子宮内膜症子宮頻がんなど不妊の原因になりうる病気のリスクが高まります。

「産婦人科は妊娠した女性が行くところ」という思い込みがあるために、気になる症状があっても受診せずに放置していたり、定期健診を受けないことで、妊娠と同時に子宮顕がんなどの病気が見付かって、せっかく授かった赤ちゃんを諦めなければならないケースも増えています。

ですから、2年間妊娠しない場合に初めて産婦人科に行くのではなく、できれば20代のうちからかかりつけの産婦人科医を見付けて、年に一度の定期健診を受けておくようにしたいものです。

そうすれば、何か病気が見つかったときも早めに治療が開始でき、子どもが欲しいと思ったときに慌てずにすみます。

とくに、35歳以上の場合は、妊娠を考えた段階で婦人科を受診しておきましょう。

卵子の老化と凍結保存

年齢とともに妊娠率は低下していく

不妊症の増加に大きく影響しているのが、出産年齢の高齢化です。

日本産科婦人科学会がまとめた不妊治療の年齢別データ(2013年度)によると、排卵日にセックスをして妊娠する確率(妊娠率)は30代前半までは25%程度

そのあと流産する場合もあり最終的に出産までこぎつけるのは20%前後です。
30代後半からは年齢とともに妊娠率が低下する一方、流産率が上昇します。

妊娠率は40歳では14%、42歳で7%、流産率は40歳で39%、42歳で50%に。
妊娠には年齢という条件も大きく影響しているのです。

卵子の年齢は実年齢プラス1歳

こうした妊娠率の低下のおもな原因が「卵子の老化」です。

卵子は母親のおなかの中にいる胎児のときにすでにできていて、生まれたときには200万個、思春期には20万~30万個まで自然消滅します。

個人差はありますが、40歳くらいには残り1万個になり、50歳くらいで卵子がなくなると閉経するのが一般的。

卵子の数だけでなく、加齢による質の低下も妊娠率に影響します。

受精しても受精卵がスムーズに分割しなかったり、ホルモン分泌が低下したりして、妊娠しづらくなっていきます。

日々精巣内で新しい精子がつくられる男性とは、根本的にしくみが違うのです。

卵子凍結に期待しすぎは禁物

卵子老化の話題がクローズアップされ、自分は将来、妊娠できるのかと不安に思う女性が増えています。

血液検査で卵子の残存数がわかるAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査が注目されていますが、卵子の質まではわからないため、妊娠できるかどうかの絶対的な指標ではありません。

若いときの卵子を凍結保存する「卵子凍結」も話題になっていますが、さまざまな問題が指摘されています。

これまで卵子の凍結保存は、不妊治療を目的とした夫婦と、がんの治療などで卵巣の機能が失われる可能性のある女性に限って行われてきましたが、日本生殖医学会は健康な女性も含めた卵子凍結に関するガイドラインを作成。

採卵時の年齢が40歳以上は推奨できない、凍結した卵子を解凍して受精させ子宮に戻す年齢は、高齢出産のリスクを考慮して、45歳以上にはすすめないとする年齢制限を設けました。

また、凍結する卵子を採取するために何度も病院に通う必要があり、費用は自費診療のため、採卵の費用の目安は1回で30万円、卵子の保管料が1個当たり年間1万~2万円。

10個預ければ年間10万~20万円が毎年かかります。

採卵から受精卵を子宮に戻すまでにかかる費用は、卵子の凍結保存期間にもよりますが、最低でも100万円は必要になる計算です。

そして、凍結卵子の妊娠率は1割程度ということも、知っておく必要があります。

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